ブログ
顧問契約と単発支援どちらがよいか
専門家に仕事を頼むとき、頼み方には大きく二つの形があります。案件ごとにお願いする「単発支援(スポット)」と、月々の契約で継続的に付き合う「顧問契約」です。
「どちらがよいですか」と聞かれることがよくあります。売り手であるわたしが「顧問がいいですよ」と言えば営業トークに聞こえるでしょうから、この記事では、できるだけ率直に、それぞれの向き不向きを整理します。判断の材料にしてください。
単発支援が向いているケース
単発支援は、「やることが決まっている」ときに向いています。
- 建設業許可を新規で取りたい、更新したい
- この公募回の補助金に申請したい
- この契約書を一本作ってほしい
ゴールが明確な仕事は、単発で頼むのが合理的です。費用もその案件分だけで済みます。初めて付き合う専門家の力量を見きわめる「お試し」としても、単発は良い入口です。
弱点は、支援が「点」になることです。案件が終われば関係も一段落。次に何かが起きたとき、また一から状況を説明することになります。そして何より、「相談すべきことが起きていること」自体に、会社側が気づけない場合があります。
顧問契約が向いているケース
顧問契約は、「動きが続く会社」に向いています。
- 毎年のように設備投資や採用がある
- 公共工事に関わっており、許可・経審・入札関連の手続きが定期的に発生する
- 補助金・助成金を経営の道具として継続的に使っていきたい
- 承継や新事業など、数年がかりのテーマを抱えている
顧問の本当の価値は、「聞かれてから答える」のではなく「会社の予定を知っているから先に動ける」ことにあります。たとえば補助金は、公募のスケジュールに合わせて投資の時期を組む「年間の段取り」の世界です。会社の予定を年初から知っている支援者は、「その投資、この公募に乗せましょう」と先回りできます。単発の依頼では、この先回りが構造的にできません。
弱点は、毎月の固定費になることです。動きの少ない会社にとっては、払っているのに頼むことがない、という状態になりがちです。
費用の考え方——形態より「何に払うか」
費用の水準や体系(着手金、成功報酬、月額など)は、事務所によってさまざまです。相場めいた数字はここでは書きません。大事なのは金額の高い安いより、「何に対して払っているのか」を確かめることです。
- 単発なら——成果物(申請、許可、書類)と、その範囲はどこまでか
- 顧問なら——毎月何をしてくれるのか。相談対応だけか、定期的な制度情報の提供や計画の見直しまで含むのか
「顧問料を払っているのに、向こうから連絡が来たことがない」——これは顧問契約への不満としていちばんよく聞くものです。契約の前に、「先方から動いてくれる中身」が何かを、遠慮なく確認してください。
迷ったら——単発から始めて、育てる
結論として、わたしがおすすめする順番はこうです。
- ①まず単発で一つ頼んでみる——仕事ぶり、話しやすさ、レスポンスを見る
- ②年間の予定を話してみる——投資・採用・承継の予定に、どんな打ち手を提案してくるかを見る
- ③動きが続きそうなら、顧問に切り替える——単発を二度三度頼むより安くなる場合もあります
専門家との付き合いは、契約形態を選ぶことではなく、「会社の未来を話せる相手」を持つことが本質です。形は、その結果としてあとから付いてきます。
また、すでに顧問税理士がいる会社でも、行政書士や社会保険労務士との付き合いが別に生きる場面は多くあります。税務は税理士、許認可や補助金は行政書士、雇用関係の助成金や労務は社会保険労務士——と、専門家にはそれぞれの持ち場があるからです。誰か一人にすべてを求めるより、持ち場のはっきりした小さなチームを持つ。会社の規模が小さいうちから、この形を意識しておくと、困りごとが起きたときに「誰に電話すればいいか」で迷わなくなります。
まとめ
やることが決まっているなら単発、動きが続くなら顧問。迷うなら単発から始めて、相性を見て育てる。これが、売り手の立場を差し引いても言える、正直な答えです。
そして、どちらの形を選ぶにしても、いちばんもったいないのは「誰にも相談しないまま、制度を使わずに投資してしまう」ことです。まずは形を決めずに、会社のこれからの予定を、一度聞かせてください。話してみてから形を決める、で十分間に合います。
製造業・建設業のための
補助金助成金30選(書籍版)を無料配布中
専門家に相談する前の下調べに。30の補助金・助成金を厳選して一冊にまとめました。自社に関係ありそうな制度の当たりを付けられます。
無料で受け取る