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賃上げと補助金——知っておくべき3つのポイント
最低賃金の引き上げが毎年のように続き、賃上げはもう「やるかやらないか」ではなく「どうやるか」の話になりました。人を採るにも、いまいる従業員に残ってもらうにも、賃金の見直しは避けて通れません。
ここで分かれ道があります。賃上げを「持ち出し」として耐えるのか、制度を使って「追い風」に変えるのか。同じ金額の賃上げでも、知っているかどうかで会社に残るお金が変わってくる場合があります。この記事では、賃上げと補助金・助成金の関係を、3つのポイントに絞ってお話しします。
ポイント1:賃上げは、多くの補助金で「評価される」要素になっている
ものづくり補助金をはじめとする主要な補助金では、賃上げの計画が申請の要件になっていたり、加点の対象になっていたりする場合があります。国の政策として賃上げを後押ししているため、審査のものさしにも賃上げが組み込まれているのです。
つまり、賃上げを予定している会社は、補助金の審査において前向きに評価されやすい立ち位置にいる、ということです。「どうせやる賃上げ」なら、それを計画にきちんと織り込んで申請したほうがいい。これが一つ目のポイントです。
ただし、注意もあります。賃上げを約束して採択された場合、達成できなかったときに補助金の一部返還などを求められる制度もあります。背伸びした数字を書くのではなく、実行できる計画にすること。ここは伴走する側として、いつも慎重に一緒に考えるところです。
ポイント2:賃上げ「そのもの」を後押しする制度がある
補助金の加点だけではありません。賃上げそのものと結びついた制度もあります。代表的なのは、事業場内の最低賃金を引き上げるのとあわせて、生産性向上のための設備投資などを行う場合に使える業務改善助成金です(コース・上限・要件は年度により変わります。最新は公式の案内でご確認ください)。
この型の制度が面白いのは、「賃上げはコスト」という見方を、「賃上げは投資の呼び水」に変えられる可能性があることです。賃金を上げる、そのために生産性を上げる、そのための設備投資に支援が出る——この流れが作れると、賃上げが会社を強くする取り組みに変わります。
ポイント3:順番がすべて——賃上げ「後」では使えない場合がある
三つのポイントのうち、いちばんお伝えしたいのがこれです。多くの制度は「これから賃上げする」会社を支援する建て付けになっています。すでに賃上げを実施したあとで申請しようとしても、対象外になる場合があるのです。
賃金の改定日がひと月違うだけで、使える制度が使えなくなることもあります。従業員への発表や就業規則の変更を先にしてしまってから「何か使える制度はないか」と探すのでは、順番が逆なのです。
だから、賃上げを決める前——遅くとも実行に移す前に、使える制度がないかを確認してください。「賃上げしようと思っている」という段階の相談が、いちばん打てる手が多い相談です。
賃上げ・設備・採用は、つながっている
賃上げの話を突き詰めると、必ず「原資をどう作るか」に行き着きます。そして原資の話は、生産性を上げるための設備投資や、体制を整えるための採用の話につながります。わたしが「見るのは賃上げ・設備・採用の三点だけでいい」とお伝えしているのは、この三つが制度の上でも、経営の実態としても、互いにつながっているからです。
賃上げ単体で考えると持ち出しにしか見えないものが、設備投資とセットで組み立てると、補助金・助成金・税制優遇の対象として立体的に見えてくる場合があります。一つの制度を単発で使うのではなく、会社の予定全体に制度を重ねていく。それが、賃上げを追い風に変える考え方です。
まとめ——賃上げの予定は、実行する前に話してください
整理します。①賃上げは多くの補助金で評価される要素になっている。②賃上げそのものを後押しする助成金もある。③ただし、どれも「実行前」でなければ使えない場合がある。
賃上げの予定が少しでも頭にあるなら、金額や時期が固まる前に、一度ご相談ください。早すぎるということはありません。むしろ早いほど、選べる道が多く残っています。
従業員の生活を支え、人材の定着にもつながる賃上げは、本来もっと胸を張ってよい経営判断です。その判断を、制度の後押しつきで実行できるかどうか。差がつくのは、たったひと声の確認です。「来期、少し上げようと思っているんだけど」——その一言から、一緒に組み立てましょう。
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