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補助金申請でよくあるつまずき
補助金の相談を長く受けていると、つまずくところは、実は毎回だいたい同じだと気づきます。制度は年度ごとに変わっても、つまずきの型は変わらない。ということは、先に型を知っておけば、多くは避けられるということです。
この記事では、現場で実際によく見かけるつまずきを、準備・申請・採択後の三つの段階に分けて整理します。ご自身の会社に当てはまりそうなものがないか、確かめながら読んでみてください。
準備段階のつまずき
いちばん多いのは、そもそも申請にたどり着く前のつまずきです。
- 先に買ってしまう——交付決定前の発注・契約・支払いは対象外になる場合が多い、という原則を知らずに動いてしまう。最も多く、最も取り返しがつかないパターンです
- 締切から逆算していない——公募期間は限られています。「いい制度を見つけた」ときには締切まで数週間、必要書類が間に合わない、ということが起こります
- 要件の読み込み不足——対象者・対象経費・補助率を確かめないまま準備を進め、途中で対象外と判明する。要件は年度により変わりますから、必ず最新の公募要領で確認が必要です
- 電子申請の準備忘れ——多くの補助金は電子申請で、アカウント(GビズIDなど)の取得に日数がかかる場合があります。締切直前に気づくと間に合いません
申請段階のつまずき
書類づくりの段階にも、決まった型があります。
- 数字に根拠がない——「売上30%増」と書いてあるのに、その計算の裏付けがない。審査する側は、意欲ではなく根拠を見ています
- 審査項目に答えていない——公募要領には審査の観点が書かれている場合が多いのに、それを読まずに書きたいことだけを書いてしまう。試験で言えば、設問を読まずに答案を書くようなものです
- 自社のことしか書いていない——市場や顧客、競合の話がなく、「よい機械を買えば売れるはず」で止まっている計画は弱くなりがちです
- 添付書類の不備——決算書、見積書、確認書類の漏れや形式の誤り。内容以前の形式不備で審査の土俵に乗れないのは、いちばんもったいない結末です
書類づくりのコツをひとことで言えば、「読む人の椅子に座って書く」ことに尽きます。
採択後のつまずき
意外に思われるかもしれませんが、採択されたあとにもつまずきは待っています。
- 採択=入金だと思ってしまう——採択後には交付申請・交付決定・実施・実績報告という手続きが続き、入金は最後です。資金繰りの計画がここで狂う会社があります
- 証拠書類を残していない——見積書・発注書・納品書・請求書・振込記録・現物写真。実績報告ではこれらが求められる場合が多く、あとから揃えるのは大変です
- 計画を勝手に変えてしまう——買う機種や内容を変えるときは、事前の変更手続きが必要になる場合があります。黙って変えると補助対象から外れることがあります
つまずきを避ける、たった二つの習慣
ここまで並べたつまずきは、突き詰めるとほぼ二つの習慣で防げます。
第一に、「決める前に相談する」こと。発注の前、締切の前、計画変更の前。あらゆる場面で、実行のひと呼吸前に確認を挟むだけで、致命的な誤りはほぼ消えます。
第二に、「公募要領を正とする」こと。ネットの解説記事(この記事も含みます)は入口にすぎません。金額・率・要件は年度により変わります。最新は必ず公式の公募要領でご確認ください。迷ったら事務局に問い合わせる。これが最短の安全策です。
もうひとつ、支援者選びについても一言。申請を丸ごと誰かに任せきりにして、社長が自分の事業計画の中身を説明できない、という状態は避けてください。採択後の実施も報告も、実行するのは会社自身です。書類の技術は借りてよい。でも、計画の中身は自分の言葉で語れる。この線引きができている会社は、申請も、そのあとの経営も強くなります。
まとめ
補助金のつまずきは、能力の問題ではなく、順番と確認の問題です。型を知っていれば避けられるものばかり。逆に言えば、初めての挑戦でも、段取りさえ正しければ十分に戦えます。準備の丁寧さは、そのまま採択後の実行力にもつながります。
「うちの場合はどこでつまずきそうか」を先に洗い出しておきたい方は、投資や賃上げの予定が固まる前の段階で、一度ご相談ください。予定の段階が、いちばん打ち手の多いタイミングです。相談は早いほど、選べる制度も、組める段取りも多くなります。
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