← ファネルハブに戻る 脱・情弱経営

ブログ

補助金と融資、どう組み合わせるか

「補助金が取れたら、設備を入れようと思います」——この言葉、よく聞きます。気持ちはよく分かるのですが、じつはこの考え方のままだと、途中で資金繰りに詰まってしまう場合があります。というのも、多くの補助金は「後払い」だからです。

この記事では、補助金と融資をどう組み合わせて資金調達を組み立てるか、その基本の考え方をお話しします。補助金の話ばかりしているようで、わたしが経営者の方と一緒に考えている時間の多くは、じつはこの「お金の流れ全体」の設計です。

補助金は「後払い」が基本

多くの補助金は精算払い、つまり、先に自分のお金で設備や経費を支払い、事業を実施して実績報告を提出したあとに、補助金が振り込まれるという流れです(制度により異なります)。申請から入金まで、1年近くかかることもめずらしくありません。

たとえば数千万円の設備を導入する場合、補助金が出るとしても、いったんは代金の全額を自社で用意する必要がある場合が多いのです。「採択された。でも払うお金がない」では、せっかくの採択が活かせません。ここで登場するのが融資です。

融資は「時間を買う」手段

借金には抵抗がある、無借金経営こそ健全だ——そういうお考えの方も多くいらっしゃいます。その価値観は否定しません。ただ、手元資金が細った状態で大きな投資に踏み切るほうが、経営としてはよほど危うい場合があります。

融資は、悪でも敗北でもなく、「時間を買う」手段です。補助金が入金されるまでのつなぎとして、あるいは投資全体の支払いを平準化する手段として、融資を組み合わせる。採択の通知は、金融機関にとっても「国の審査を通った計画」という材料になりますから、融資の相談が前に進みやすくなる場合もあります。実際、採択後のつなぎ資金への融資は、金融機関側でも珍しい相談ではありません。

基本の組み合わせ——お金の流れを先に描く

組み合わせの基本形は、こんな流れです。

ポイントは③です。採択されてから慌てて金融機関に駆け込むのではなく、申請の段階から「採択されたらこういう資金の流れになります」と話を通しておく。これだけで、その後の動きがまるで変わります。

事業計画書は、使い回せる「資産」

もう一つ、お伝えしたいことがあります。補助金の申請のために作った事業計画書は、融資の場面でもそのまま武器になるということです。

政策金融公庫でも、信用保証協会付きの融資でも、金融機関が見たいのは「この投資で事業がどう良くなり、返済の原資がどう生まれるのか」です。それはまさに、補助金の申請書で書き上げた中身そのものです。数字の根拠と実現までの道筋がきちんと書かれた計画書は、どの窓口に持って行っても通用します。

わたしが「計画づくりに時間をかけましょう」と言うのは、補助金のためだけではありません。一度きちんと作った計画は、融資にも、その後の経営判断にも、繰り返し使える資産になるからです。

金融機関とは「借りる前」から付き合う

最後に、地味ですが効く話を。金融機関との関係は、お金が必要になってから作るのでは遅い場合があります。決算のとき、半期のとき、試算表を持って近況を伝えておく。それだけで、いざ投資の話が動いたときのスピードが違います。

「補助金を申請する予定がある」という情報も、早めに共有しておいて損はありません。金融機関にとっても、前向きな投資の相談は歓迎される話です。

まとめ——「補助金か融資か」ではなく「補助金も融資も」

補助金と融資は、対立する選択肢ではありません。補助金は投資の負担を軽くし、融資はお金の流れの時間差を埋める。役割が違うのです。

投資の予定が見えてきたら、補助金の申請と資金繰りの設計をセットで考えてください。「どの補助金が使えるか」と「お金の流れをどう作るか」を一枚の絵にするところから、わたしもお手伝いしています。

わたし自身、身内の飲食店開業のときに、意味も分からないまま政策金融公庫に出す事業計画書を作り、とても苦しんだ経験があります。だからこそ、お金の流れが「分からないまま」投資に踏み出す怖さは、よく知っているつもりです。分からないまま進まない。そのための伴走です。

本記事は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、個別の融資可否・申請可否を保証するものではありません。補助金の支払い方式・金額・要件は制度や年度により変わります。最新の内容は必ず公式の公募要領・各金融機関の案内でご確認ください。
無料プレゼント

製造業・建設業のための
補助金助成金30選(書籍版)を無料配布中

資金調達の全体設計は、まず「どんな制度があるか」を知るところから。30の補助金・助成金を厳選して一冊にまとめました。

無料で受け取る