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補助金と助成金の違い——どちらから考えるか

「補助金と助成金って、何が違うんですか」。セミナーでも個別相談でも、必ず出る質問です。名前は似ていますし、日常会話では区別せずに使われることも多い。でも、この二つは性格がまるで違います。違いを知らないまま動くと、「もらえると思っていたのにもらえなかった」「使える制度に気づかず素通りしていた」ということが起こります。

この記事では、二つの違いを、実務の感覚でお話しします。

ざっくり言うと、こう違う

厳密な法律上の定義で分かれているわけではないのですが、実務の世界では、おおむね次のように使い分けられています。

乱暴を承知でたとえるなら、補助金は「コンテスト」、助成金は「スタンプラリー」です。コンテストは出来ばえで勝負が決まり、落ちることがある。スタンプラリーは決められた手順を全部踏めばゴールできるが、一つでもスタンプが抜けると台無しになる。それぞれの戦い方が違うのです。この違いを頭に入れておくだけで、情報収集の効率がまるで変わってきます。

補助金の特徴——審査があり、採択率がある

ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金。こうした補助金は、事業計画書を提出し、審査を受け、採択されて初めてお金の対象になります。当然、不採択もあります。採択率は制度や回によって変わりますが、半分前後という場合も珍しくありません。

また、次の特徴があります。

つまり補助金は、「良い計画を、正しい順番で、締切までに出す」ゲームです。準備の質と段取りがすべてと言ってもいいと思います。

助成金の特徴——要件と書類がすべて

一方、キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金といった雇用関係の助成金は、審査で他社と競うものではありません。要件を満たし、決められた手続きを、決められた順番で踏めば、受給できる場合が多い制度です。

そのかわり、次の特徴があります。

助成金は、「日頃の労務管理がきちんとしている会社」ほど使いやすい制度です。逆に言えば、助成金を使おうとすることが、労務まわりを整えるきっかけにもなります。

どちらから考えるか——課題から逆算する

では、自社はどちらを見ればいいのか。答えは簡単で、いま解決したい課題から逆算します。

大事なのは、「お金がもらえるから何かやる」ではなく、「やると決めたことに、使える制度を当てる」という順番です。そして、補助金も助成金も、共通する鉄則がひとつあります。動く前に確認すること。発注してから、雇ってから、研修を始めてからでは、原則として間に合いません。また、同じ課題でも切り口を変えると別の制度が見えてくる場合があります。一つの制度に決め打ちせず、少し引いた位置から全体を眺めてみてください。

まとめ——二つの引き出しを持っておく

補助金と助成金は、財布の別々の引き出しのようなものです。設備と挑戦の引き出し、人と雇用の引き出し。経営の場面ごとに、開けるべき引き出しが違います。制度の名前を全部覚える必要はありません。「投資や採用を決める前に、使える制度がないか確認する」——この習慣さえあれば、必要なときに専門家と一緒に引き出しを開ければよいのです。なお、各制度の金額・要件は年度により変わります。最新は公式の公募要領・支給要領でご確認ください。

本記事は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、個別の採択・受給を保証するものではありません。各制度の要件・金額は年度により変わります。最新の内容は必ず公式の公募要領・支給要領でご確認ください。雇用関係助成金の申請手続きの代行は社会保険労務士の業務範囲です。
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