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事業承継と補助金の考え方

「息子に会社を譲ろうと思っているんです」「先代から継いだはいいが、設備が古くてね」——地域の製造業・建設業を回っていると、代替わりの話は本当によく出ます。

事業承継というと、株式や相続、税金の話だと思われがちです。それも大事なのですが、わたしが行政書士としてお伝えしたいのは、少し違う角度の話です。承継は、会社が一気に変わる好機であり、補助金や支援制度がいちばん集まってくる場面でもある、ということです。

承継は「第二の創業」——制度もそう見ている

後継者が会社を継ぐとき、多くの場合、ただ看板を引き継ぐだけでは終わりません。古い設備の入れ替え、新しい販路の開拓、デジタル化、若い人の採用。先代の築いた土台の上で、新しい挑戦が始まります。

国の政策も、承継をそのように見ています。承継やM&Aを機に新しい取り組みに挑戦する会社を後押しする補助金が設けられてきましたし、事業承継・引継ぎに関する支援制度は近年、力を入れられている分野のひとつです。制度の名称や内容は年度により変わりますので、最新は公式の公募要領でご確認ください。

承継のタイミングで検討したい制度の方向性

個別の制度名は移り変わるので、ここでは「方向性」で整理します。承継前後の会社が検討する価値があるのは、たとえばこんな領域です。

先代の側に伝えたいこと——「渡す前」が勝負

いま経営している側、つまり譲る側の方に伝えたいのは、承継の準備は「渡す前」が勝負だということです。

許認可の承継はその典型です。建設業許可や産業廃棄物収集運搬業許可などは、承継の形(株式譲渡か、事業譲渡か、相続か)によって、手続きがまるで変わります。準備なしに代表者が急に交代すると、許可の空白が生まれて仕事が止まる、という事態も起こり得ます。行政書士として、ここは強くお伝えしたいところです。

お金の面でも同じです。承継を見据えて数年がかりで財務を整え、後継者の挑戦の計画を先に描いておく。そうすれば、承継のその年から、補助金や融資をフルに使った「第二の創業」を始められます。

後継者の側に伝えたいこと——構想を計画書にする

継ぐ側の方に伝えたいのは、頭の中の構想を、早めに計画書のかたちにすることです。

「継いだら、この機械を替えたい」「ホームページを作り直して、元請けを増やしたい」。その構想こそが、補助金の事業計画の種であり、金融機関への説明資料の種です。承継のごたごたの中で後回しにせず、構想を数字と文章にする時間を確保してください。その計画書一枚が、承継後の数年間の資金調達を楽にします。

なお、親族に後継者がいない場合の、第三者への引継ぎ(M&A)も、いまや特別な話ではありません。従業員への承継、同業他社への譲渡など、形はさまざまです。この場合も、許認可がそのまま引き継げるのか、雇用や取引はどうなるのか、整理すべきことは親族承継と同じかそれ以上にあります。「継ぐ人がいないから畳むしかない」と決める前に、引継ぎの選択肢を一度調べてみてください。技術と雇用が残る道が、見つかる場合があります。

まとめ——承継の相談に「制度の目」を一つ加える

事業承継は、税理士・弁護士・金融機関など多くの専門家が関わる総力戦です。そこに「補助金・許認可・計画制度の目」を一つ加えておくと、承継が単なる引き継ぎではなく、会社を一段強くする機会に変わります。

制度の内容は年度により変わります。最新は公式の公募要領でご確認いただくとして、「まだ何年も先の話」という段階からのご相談こそ歓迎です。承継は、早く動いた会社ほど選択肢が多い——これは断言してよい数少ないことの一つです。次の代に何を残すか、その設計は今日から始められます。

本記事は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、個別の申請可否や手続きの結果を保証するものではありません。承継関連の補助金・支援制度の内容は制度や年度により変わります。最新の内容は必ず公式の公募要領でご確認ください。税務・法務は各専門家にご相談ください。
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