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事例:電気工事会社がペット複合施設に挑む——異業種進出の事業計画書はこう作る

「うちの本業とまったく違う分野に、打って出たいんです」。そんな相談から始まった計画づくりの実例を、今日はご紹介します。主役は、兵庫県内で活動する電気設備工事の会社。マンションやビルの電気工事の設計・施工管理を手がける、年商7,500万円ほどの技術者集団です。

この会社が挑んだのは、なんと「ペットと一緒に過ごせる複合施設」。トリミングサロンとカフェとドッグランをひとつの建物にまとめ、飼い主と愛犬が「片時も離れずに過ごせる」場所をつくる、という新事業です。電気工事とペット。一見、何のつながりもないように見えます。でも、計画書を組み立てていくと、この会社にしかできない理由が、はっきり浮かび上がってきました。

出発点は「既存事業の強みの棚卸し」

異業種への進出計画で、審査側がいちばん厳しく見るのは「なぜ、あなたの会社がやるのか」です。思いつきの多角化と受け取られたら、そこで終わりです。

この会社の場合、鍵は本業の中にありました。電気・空調・給排水を知り尽くした「空間をつくる技術」です。ペット施設の最大の課題は、ニオイ・衛生・温度の管理。多くの店がここで苦労しますが、この会社なら換気回数・吸音設計・照明計画まで、施設の要件に合わせて自社で設計・施工できる。つまり、業界の長年の課題を、本業の技術で根本から解決できるわけです。

「トリミングサロン=預ける場所」という常識に対して、「ガラス張りのトリミング室を、飼い主がカフェから見守れる」という新しい体験を、技術の裏付けつきで提案する。ここまで落とし込めると、計画書の説得力はまるで変わります。

市場は「感覚」ではなく「数字」で語る

次にやったのは、市場の裏付けです。この計画書では、たとえばこんな数字を積み上げました。

大事なのは、出どころのはっきりした数字を使うことと、「全国の話」を「自分の商圏の話」に引き直すことです。全国で市場が伸びていても、商圏にお客さまがいなければ商売は成り立ちません。逆に、商圏の頭数と客単価から売上目標(この計画では初年度2,200万円、3年目3,000万円)を組み立てられれば、目標の根拠を誰が読んでも追いかけられます。

競合調査は「3層」で見る

競合分析も、やり方に工夫がありました。「直接競合」「間接競合」「代替手段」の3層に分けて、商圏内の店舗を地図・SNS・口コミサイトで調べ上げ、料金・サービス範囲・評価を一覧表にしたのです。

その結果わかったのは、「トリミング+カフェ+ドッグランを同じ施設で提供する競合が、商圏に存在しない」という事実でした。単機能の店はたくさんある。でも「一日中いたい」と思える場所がない。この「空白」を数字と表で示せたことが、計画の核になりました。

弱みを隠さず、手当てとセットで書く

この計画書のもうひとつの美点は、弱みから目をそらしていないことです。店舗運営は未経験。開業直後の認知度もゼロ。それを認めたうえで、経験豊富な技術責任者の採用を先に固める、開業前に数か月の合同研修を行う、施工の様子をSNSで発信して開業前からファンをつくる——と、手当てを具体的に書き込みました。

資金計画も同じです。総事業費のうち、補助金・金融機関からの借入・自己資金の組み合わせを明示し、開業初期の赤字を吸収できる備えがあることまで示しています。審査側が知りたいのは「弱みがないこと」ではなく、「弱みを分かっていて、備えがあること」なのです。

許認可とスケジュールも計画のうち

ペット関連の店舗には、動物取扱業の登録や、カフェを併設するなら飲食店の営業許可が必要になります。この計画では、保健所との事前協議を設計段階で済ませ、開業までの取得スケジュールを明記しました。「あとで考える」ではなく「先に調べて計画に組み込む」。許認可は、異業種進出でつまずきやすいところなので、順番を間違えないことが大切です。

この事例から持ち帰ってほしいこと

まとめると、異業種進出の計画書づくりは、この順番です。

そして例によって、合言葉は「決める前に」です。この会社も、店舗の工事や設備の発注を決めてしまう前の段階から計画づくりに着手したからこそ、補助金の活用を計画に組み込めました。あなたの会社の「これからの予定」の中にも、同じ入口が隠れているかもしれません。

本記事は実際の支援事例をもとにしていますが、プライバシー保護のため社名・施設名・地域等は伏せ、内容の一部を変更しています。補助金の制度内容・要件は年度により変わります。最新の内容は必ず公式の公募要領でご確認ください。個別の採択を保証するものではありません。
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