← ファネルハブに戻る 脱・情弱経営

ブログ

キャリアアップ助成金の基本

「長く働いてくれているパートの職人さんを、そろそろ正社員にしてやりたいんです」。こういうお話をうかがったとき、わたしが必ず確認するのが、キャリアアップ助成金です。人を大事にしようとする会社の背中を、国が押してくれる制度だからです。

この記事では、キャリアアップ助成金がどんな制度なのか、代表的なコース、そして使うために欠かせない「順番」の話をします。

どんな助成金か

キャリアアップ助成金は、厚生労働省の雇用関係助成金のひとつです。有期契約社員、パート、派遣社員といった、いわゆる非正規雇用の方の待遇を良くする取り組み——正社員への転換や処遇の改善——を行った会社に、助成金が支給される制度です。

補助金との大きな違いは、競争がないことです。補助金は審査で採択・不採択が分かれますが、雇用関係の助成金は、要件を満たして正しく手続きすれば受給できる場合が多い。そのかわり、要件の確認と書類の整備がとても細かい。性格がまったく違う制度だと考えてください。

代表的なコース

キャリアアップ助成金にはいくつかのコースがありますが、中小企業でよく検討されるのは次のあたりです。

コースの構成、支給額、加算の仕組みは頻繁に見直されます。年度により変わります。最新は厚生労働省の公式資料(支給要領・パンフレット)でご確認ください。

使うための前提——「計画が先」の鉄則

この助成金で何より大事なのは、順番です。キャリアアップ助成金は、取り組みの前に「キャリアアップ計画」を作成して労働局へ提出しておくことが前提になります。正社員に転換してしまってから「そういえば助成金があったな」と思い出しても、原則として間に合いません。

さらに、正社員化コースでは、転換前に就業規則などに転換制度の規定があること、転換後に賃金が一定割合以上増えていること、といった要件が課される場合があります。つまり、次の順番を守る必要があります。

「いいことをしたのだから、後からでも認めてくれるだろう」は、この世界では通用しません。善意の取り組みほど、先に段取りを確認していただきたいのです。

書類の整備が土台になる

雇用関係の助成金は、出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、就業規則といった労務書類が支給審査の土台になります。日頃からこれらが整っている会社は申請がスムーズですが、「就業規則は昔作ったきり」「雇用契約書は交わしていない」という会社は、まず足元の整備からになります。

これは遠回りに見えて、実は本丸です。労務書類の整備は、助成金のためだけでなく、労使トラブルの予防、採用力の強化、そして建設業なら経審や許可の維持にもつながる、会社の土台工事だからです。助成金は、その工事の費用を回収する機会だと考えると、取り組む意味がはっきりします。

なお、キャリアアップ助成金の申請手続きの代行は、社会保険労務士の独占業務にあたります。わたしのところにご相談いただいた場合も、申請実務は信頼できる社労士と連携して進める形になります。経営全体の中でどの制度をどの順番で使うか、という設計のところで、わたしがお手伝いします。

まとめ——人を大事にする会社こそ、使ってほしい

キャリアアップ助成金は、「非正規の人を正社員にする」「待遇を上げる」という、本来ならコストが先に立つ決断を、後押ししてくれる制度です。人手不足の時代、正社員登用の仕組みがある会社は、採用でも定着でも強い。どうせやるなら、制度を正しく使って、会社の負担を軽くしながらやりましょう。合言葉はいつもどおり、「決める前に」です。

本記事は執筆時点の情報にもとづく一般的な解説であり、個別の受給を保証するものではありません。コース構成・支給額・要件は年度により変わります。最新の内容は必ず厚生労働省の公式の支給要領等でご確認ください。雇用関係助成金の申請手続きの代行は社会保険労務士の業務範囲です。
無料プレゼント

製造業・建設業のための
補助金助成金30選(書籍版)を無料配布中

キャリアアップ助成金を含め、人材・賃上げのカテゴリを中心に30の補助金・助成金を厳選して一冊にまとめました。人に関する制度の下調べにお使いください。

無料で受け取る